グレイヘアコンサルタントの由来

元々、コンサルティングを生業とするファームは、‘グレイヘア・コンサルタント’が始まりだ。経営者に、その道のプロが自らの経験を基に、随時アドバイスをする。経験を積むことで賢くアドバイスできる。有益なアドバイスができる人は、結果的に白髪ができる年代というで、‘白髪の指南役’という事になる。グレイヘアは老化ではなく進歩なのだ。

指南を受けたい経営者が増えると、それをビジネスにしようとする会社ができる。それが欧米の戦略コンサルティング・ファームの始まりだ。

ビジネスにするからには、グレイヘアだけだと数が足りない。新卒の若手を大量に採用して、グレイヘア・コンサルタントの知識を埋め込んだ手引き書(メソドロジー)を徹底的に勉強させ‘にわかコンサルタント’をたくさん仕立てあげる。‘にわかコンサルタント’達は、依頼先の現場にはりついて、徹底的に事実関係を調べ上げる。知識と経験は乏しいが、体力とフットワークだけは他に負けない。

集めた情報をグレイヘア・コンサルタントと一緒に分析する。グレイヘアと‘にわかコンサルタント’達は、あたかもソクラテスと弟子の様に、問答を通して理解を深めていく。どこに問題があって、どうすれば本質的に解決できるか論理的な組立をして、経営者に提言する。グレイヘアはポイントをいくつか見れば直感で原因をつかみ助言を出せるが、経験の無い若手にはサイエンス的なアプローチでの訓練が必要になる。そういう仕組みを作り、多くの依頼先から相談を受ける体制をつくる。このやりかたが、現在のコンサルタント会社の原型になっている。

出所:『いもあらい坂物語』(原伸一)